権力
○権力
□権力の生成 ex)J.K.ガルブレイス、R.ダール
・威嚇型…回避したい制裁の可能性によって従わせる ex)脅迫、強制
・報償型…望ましい報償の可能性によって従わせる
※従わなければ報償を「奪う」と考えれば威嚇型と同様
・説得型…評価・選好を変えさせる
□実体概念説/機能概念説/構造概念説
1)ソレが原因となって他人の行動に何らかの変化をもたらすモノ
→実体概念説:権力=所有するもの
ex) 国際関係論の古典的リアリズム2)働きかける側と働きかけられる側との相互関係の中で生起するコト
→機能概念説:権力=関係
◇一元的権力観(行為主義的):AがさもなければBがしないような何かをさせる
※前提:ある意図を持つ複数の主体が想定
・各領域に複数存在(アクター間の対立)
ex)ダールら多元主義
・特定の集団が他の集団に対して一方的に行使
ex)ミルズら権力エリート論、マルクス主義
※実体概念としての権力=資源想定
◇二元的権力観:問題として露見すること自体が不都合な争点を事前にAが除去
※前提:観察不可能な決定回避権力の次元が存在「非決定の決定」
ex)P.バクラック・M.バラッツ
→それでも意図を持つ主体が存在
◇三元的権力観:Aにとって不都合な考え方をBがしないよう、AがBを洗脳
・Bの意図を消去 →対立・争点を無くす
ex)ルークス
・Bの意図を弱くする→強い権力を持つ主体A
ex)虚偽意識論
3)構造的権力観(黙示的権力観)
・主体形成権力:人を主体化=臣民化(subject)
→主体=権力の産物
※所与と想定される主体、意図を疑う権力観
□政治思想家と権力
○アレントと権力
◆権力:他人と協力し行動する人間の能力
⇒公的領域で生じる→活動:複数の人間が行う自発的な共同行為
※マキャヴェリの権力観(他人と共に生きる手段)と類似
◆暴力:非対称的な関係で生じる
⇒私的領域で生じる→労働:生物としての人間生活を維持するためのもの
⇒政治・権力・公/経済・暴力・私の二元論
○ホッブズ/リアリズムの権力観
・権力観…生成時(社会契約)における相互性+確立後における一方通行性
→新秩序創設/規制秩序維持のため
※ベンヤミンと暴力
・法(≒正当性を持つという意味で権力)=暴力によって事実上形成
・カオス→暴力(法措定的暴力)→ノモス…自己目的化する暴力(法維持的暴力)
⇒二つの神話的暴力
○フーコーと権力
◇古典主義時代(17C〜フランス革命期):
・刑罰=公開の拷問(犯罪者の身体への攻撃=傷ついた権力の回復)
→「狂人」=犯罪者・浮浪者・貧民ら「非理性」の世界の住人
◇「人間の時代(18C)」:
・刑罰=魂の改造(犯罪者の精神を改造=治療)
→「狂人」/貧民(潜在的労働者として分離)
◇近代(19C〜):
・刑罰=更生⇒エコノミーの原理(生かすことで再利用)
→「狂人」→治療して労働力として再利用
⇒生−政治学(マクロな権力)
◆規律権力(ミクロな権力):
・「抑圧の仮説( ex)マルクス主義の虚偽意識論)」批判:
→「真理が権力の抑圧から人々を解放可能にする」という論理(目覚めよ、労働者)
=「告白」によって「自らの内面(真理)」を語りうる主体とする(=解放)
⇒主体化権力 ※あらかじめ存在する主体の想定に疑問
・パノプティコン:
→監視装置…見られる客体/不可視な監視人
⇒集団を有効に管理するテクノロジーとして各々の人々が個別に使用
○グラムシ、ラクロウ・ムフのヘゲモニー論
◇下部構造規定性の否定、資本家-労働者の二元論的アイデンティティ還元論の否定:
→本来、主体のアイデンティティは多元的(政治空間の複数化)
⇒権力資源としての言説により、特定のアイデンティティが前面化
※ヘゲモニー闘争=提示された理念やその正当性によって人々の支持を得る争い