16/05/05 子ども35年連続減

◆2016年4月1日時点の人口推計
 ・14歳以下の子どもの数(外国人含む)…1605万人(前年比15万人減/35年連続の減少)
     ※比較可能なデータのある1950年以降
      ・1954年:2989万人でピークを迎える
      ・1971〜74年:第2次ベビーブームでいったん増加
      ・1982年以降:一貫して減り続ける


   ・総人口に占める割合…12.6%(42年連続の低下)
     ※人口4000万人以上の31カ国で最低の割合


   ・内訳…男子822万人/女子782万人


   ・1000人単位で比較した都道府県別…東京増/福岡・沖縄横ばい/他44道府県

■論点:憲法と安全保障を問う

・木村草太(首都大学東京教授)…1980年生まれ・憲法学者
井上達夫(東京大大学院教授)…1954年生まれ・法哲学


○安保法制
自衛権行使の3要件
 ・1:日本の存立が脅かされ、
    国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある
 ・2:その危険を排除するために他に適当な手段がない
 ・3:必要最小限度の実行行使


・2014年7月:解釈変更を閣議決定、安全保障関連法に盛り込む
 ・1の前提に加え、「日本と密接な関係にある他国への攻撃」も発動要件とする
   →存立危機事態…集団的自衛権行使に道を開く


憲法9条

◆井上:
 ・護憲派憲法学者の区分

  ・原理主義護憲派自衛権を認めない
  ・修正主義的護憲派自衛権を認めている

 ・井上の立場:原理主義護憲派と同じ

  ・9条1項…自衛権を否定していない
  ・9条2項…自衛のためでも一切の武力行使を禁止している

◆木村:
 ・9条の解釈は井上と同じ

  →が、9条の例外を定めた条文と憲法13条を解釈可能
   →国民の生命、自由、幸福追求の権利を保護する義務が日本政府にある
     ※集団的自衛権は根拠づけられない
       →日本への主権侵害の着手がない段階での武力行使のため

◆井上:

 ・戦力の保有・行使の禁止という重要な憲法規範の適用除外を、
  明文化されていないのに13条に読み込むのは法解釈として暴論
   →憲法解釈がこじつけ合戦になる


 ・戦力を保有するならその組織編成と行使手続きの条件といった戦力統制規範は憲法の中で定めるべき
   ※基本的な安全保障政策の選択は、立法過程で行うべき


 ・軍隊を持つのであれば徴兵制も加えるべき
   →政府が自衛権を乱用した場合、国民が一番悲惨なリスクを負う状況に置かなければ、
    国民が無責任な好戦感情にかられたり、政府が非常に危険な行動をしても無関心になってしまったりするため


 ・9条により戦力は憲法上存在しないことになっているため、戦力統制規範をいまの憲法に盛り込むことが不可能


 ・「9条のおかげで戦後日本は平和になった」というのは護憲派の欺瞞
  →戦後日本はベトナム戦争イラク戦争で米国の侵略戦争に、軍事拠点を提供することで加担
  →日本が侵略されなかったのは9条のおかげではなく、自衛隊日米安保によるもの
   ⇒9条削除論の主張はショック療法的


 ・次善の策として「新9条論」:
  →個別的自衛権の範囲ならば自衛隊日米安保は認めるよう憲法に書き込み、かつ戦力統制規範も入れる

16/05/03-05 されど「良識の府」

■2016年7月25日 24回目の参院選
 →242人の参院議員の半数が任期満了
  ⇒参院改憲勢力が3分の2(162議席)以上になれば改正を発議する環境が整う
    ※衆院は自民・公明両党でこの要件を満たしている


衆院で可決された法案を参院が修正したケース
・1970年代:平均2.6本 ※1通常国会あたり
・1980年代:平均1.9本
・1990年代:平均0.6本
・2000年代:平均0.3本
・2010〜15年:平均0.8本
衆院の「カーボンコピー」と批判される

※2015年9月19日:
 →野党3党、参院本会議で安保関連法に賛成
   ※法的拘束力のない付帯決議などで担保するにとどめる


参院の歴史
GHQ、現行憲法の制作過程で貴族院を廃止し衆院だけの1院制にする案を提示
 →日本政府、押し返し、参院の設置決定

・1947年:第1回参院選選挙制度に選挙区と全国区を採用
      ※緑風会結成(最盛期には96人)
        ・不偏不党を掲げる会派
        ・法案への賛否は個々の議員が判断
      ※1965年:緑風会…選挙運動の難しさから衰退し解散


・1983年:参院選…全国区に代わり比例代表制導入
      →各党候補者名簿の登載順に当選
       ⇒公認権を握る政党の立場強まる


・1989〜93年:ねじれ国会状態だが、中小政党が一定の勢力を持つ
        ※2大政党制だと政局絡みになる


・2001年:参院選…非拘束名簿式に変更
      →比例代表は個人名票の多い候補者から当選
       →一定地域で得票が見込める元衆議員が相次いで参院に転身
        ⇒衆参の境界ぼやける


・2007年:第1次安倍政権での参院選
      →自民・公明両党惨敗…参院過半数を失う・福田政権に
       ⇒「ねじれ国会」…衆院が可決した法案を参院が否決した場合、
                衆院は3分の2以上の賛成で再可決する必要あり


・2010年:参院選民主党・菅政権時に敗北、少数与党に転落
  ※2012年:衆院選自民党大勝


・2013年:参院選自民党、65議席獲得
      →2016年の改選50議席に7議席上積みすれば過半数
       ※1989年参院選以降、第1党が参院単独過半数を占めたことはない

09/09/18 民主党の「次の内閣」とは何だったのか

○なかなか政権取れず、与野党折衝役にシフト


▼「次の内閣」:

 ・野党時代に民主党がつくったNC(ネクストキャビネット)
 ・99年設置/英国野党の「影の内閣」(シャドーキャビネット)を参考に
 ・05年(前原代表時代):NC大臣は委員長の筆頭理事を兼務するように
 →政権交代の現実味ない時期が続き、「閣僚候補」を意味するものではなくなる
  ⇒与野党折衝という実務重視のシフトへ


民主党の「次の内閣」(NC)閣僚はどうなった

NCでのポスト 名前 実際
首相 鳩山由紀夫 首相
副総理 菅直人 副総理
副総理 小沢一郎 入閣なし
副総理 輿石東 入閣なし
国務相 岡田克也 外相
官房長官 直嶋正行 経産相
総務相 原口一博 総務相
外相 鉢呂吉雄 入閣なし
防衛相 直嶋正行 ※防衛相
内閣府担当相 松井孝治 官房副長官
財務相 中川正春 入閣なし
金融相 大畠章宏 入閣なし
厚労相 藤村修 入閣なし
年金担当相 長妻昭 厚労相
経産相 増子輝彦 入閣なし
法相 細川律夫 入閣なし
文科相 小宮山洋子 入閣なし
子ども・男女共同参画 神本美恵子 入閣なし
農水相 筒井信隆 入閣なし
国交相 長浜博行 入閣なし
環境相 岡崎トミ子 入閣なし

09/09/16 副総理の役目とは

○法律には規定なし/後に首相になる人も



◇「副総理」:

 ・法律に規定のない俗称…必ず置かなければならないものではない
 ・戦後18人…菅直人氏で19人目


 ▽内閣法9条:
   →「内閣総理大臣に事故のあるとき、または内閣そり大臣が欠けたときは、
     あらかじめ指定する国務大臣が臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」
      →臨時代理の就任順位第1位…通常、官房長官
        ⇒それ以外の大臣を第1位に指定した場合、今は「副総理」と呼ぶ
          ※具体的な権限はない
 ・内閣法3条の「行政事務を分担管理しない大臣」、無任所相に分類される
    ※ただ、羽田・河野両氏なら外相/久保氏なら蔵相のように他の閣僚の兼務が通例


 ▽連立政権時…首相を出していない政党から起用される例が多い
    ex)93年の細川連立政権…第2党の新生党党首・羽田孜
    ex)自社さの村山・3党連立政権…自民党総裁河野洋平
                    ※後に橋本龍太郎
    ex)橋本首相…社民党副党首の久保亘氏


 自民党単独政権時…実力者を閣内に取り込み政権運営の安定を図る
    ex)47〜60年(第1次吉田内閣〜岸内閣):おおむね副総理置く
    ex)中曽根内閣…金丸信
    ex)宮沢内閣…後藤田正晴


 ▽副総理から総理になった例:
   →戦後6名…芦田均/三木武夫/福田赳夫/宮沢喜一/羽田孜/橋本龍太郎
     →大体、副総理を辞めた直後に首相に「昇格」



◇過去の主な副総理:

副総理 内閣
47〜47 幣原喜重郎 吉田内閣
47〜48 芦田均 片山内閣
48〜48 西尾末広 芦田内閣
48〜51 林譲治 吉田内閣
52〜54 緒方竹虎 吉田内閣
54〜56 重光葵 鳩山内閣
57〜58 石井光次郎 岸内閣
59〜60 益谷修次 岸内閣
72〜74 三木武夫 田中内閣
74〜76 福田タケ夫 三木内閣
86〜87 金丸信 中曽根内閣
87〜88 宮沢喜一 竹下内閣
91〜93 渡辺美智雄 宮沢内閣
93〜93 後藤田正晴 宮沢内閣
93〜94 羽田孜 細川内閣
94〜95 河野洋平 村山内閣
95〜96 橋本龍太郎 村山内閣
96〜96 久保亘 橋本内閣


09/09/13 政策転換へ 育児支援

○手当で家庭へ直接補助
 ・現行の児童手当…政府の少子化対策の中心/施設への補助
   ⇒民主党子ども手当…家庭への直接補助



■子どもへの手当はこう変わる

▽児童手当:
 ・対象…小学生まで  ・所得制限…あり
 ・支給額…3歳未満:月1万円/3歳以上:第2子まで月5千円・第3子から月1万円


子ども手当(民主党案):
 ・対象…中学生まで  ・所得制限…なし
 ・支給額…月2万6千円/年31万2千円(2010年度は半額)
   ※児童手当・配偶者控除などの廃止とセット
   


子ども手当で所得はこう変わる(大和総研資産)

  年収 子ども 年間所得増減
共働き 高い方が300〜400万円 中学生2人 +58万6千円
共働き 高い方が800万円 3歳〜小学生の1人 +23万6千円
片働き 300〜400万円 3歳〜小学生の1人 +21万4千円
片働き 900〜1200万円 高校生・大学生の2人 −7万6千円

 →共働き世帯/年収が低い世帯の恩恵大
 →子どものいない片働き世帯/高校生以上の子どもがいる世帯は負担増
  ⇒片働き世帯モデルから共働き世帯モデルへの政策転換


■保育充実も待ったなし
子ども手当に必要な財源…年5.3兆円
▽家族関連の公的支出(05年のGDP比):

 ・日本…0.81%
 ・英仏…3%強
   ※出生率が近年回復してきた仏・スウェーデンでは手厚い家族手当
     +保育・幼児教育向けにも大きな公的支出
▽認可保育園に入れない「待機児童」の数…2万5千人(09年4月)
  →前年より3割増
    ⇒保育の受け皿、ここ10年あまり不足

09/09/06 高速無料化の経済効果

国交省一転、試算認める
・高速道路を無料化した場合の経済効果:

  →国交省、2年前に試算を行っていたことが明らかに
     ex)一般道路の渋滞解消などで直接の経済効果見込み…2.7兆円
    ※これまで政府は「試算は存在しない」として隠してきた


民主党の高速無料化公約:
 ・高速道路の通行料金を都市部を除き、原則無料に
 ・渋滞が見込まれない地方部を中心に10年度から段階的に実施
   →12年度から「完全実施」
 ・物流コストを減らし物価を下げること、地方経済を活性化させることなどが目的
 ・無料化後、高速道路の建設費用は税金で賄う
 ・03年の衆院選から政権公約に盛り込んでいる