商業簿記4:手形


□手形:
  →「誰が誰にいつまでにいくら支払う」か書いた証券/支払いを先延ばし
    →簿記上、「受取手形」(資産)勘定・「支払手形」(負債)勘定
  ※法律上は約束手形為替手形
  

 約束手形
    →手形を受け取る人に対し「決まった日に手形に書かれた金額を支払う」と約束した証券
      ⇒「支払手形」勘定で処理/負債増

           ※受け取る側:「受取手形」勘定/資産増
        ・振出人→手形債務者
        ・受取人→手形債権者
       ▽約束手形を振り出したとき ex)(借)仕入 ×× (貸)支払手形 ××
             ※振出人=支払人 受け取った人=名宛人
       ▽約束手形の代金が決済されたとき
             ※払出人:支払手形(負債)減 名宛人:受取手形(資産)減



 為替手形
    →「決まった日に自分の代わりにその手形に書かれた金額を支払う」よう他の人に頼むための証券
        ・振出人
        ・支払人→名宛人・手形債務者
        ・受取人→指図人・手形債権者

         
  1)為替手形を振り出す:
    ・振出人の仕訳…指図人に対する買掛金(負債)減/名宛人に対する売掛金(負債)減
       ex)(借)買掛金 ×× (貸)売掛金 ××
    ・指図人の仕訳…振出人に対する売掛金(資産)減/受取手形(資産)増
       ex)(借)受取手形 ×× (貸)売掛金 ××
    ・名宛人の仕訳…振出人に対する買掛金(負債)減/支払手形(負債)増
       ex)(借)買掛金 ×× (貸)支払手形 ××


  2)為替手形が決済:
    ・振出人の仕訳…仕訳の必要なし
    ・指図人の仕訳…受取手形(資産)減/当座預金(資産)増
       ex)(借)当座預金 ×× (貸)受取手形 ××
    ・名宛人の仕訳…支払手形(負債)減/当座預金(資産)減
       ex)(借)支払手形 ×× (貸)当座預金××



   ▼自己受為替手形売掛金受取手形にすることで支払期日を明らかにする
       1)振り出したとき:
         ・振出人=指図人 ex)(借)受取手形×× (貸)売掛金××
         ・名宛人     ex)(借)買掛金×× (貸)支払手形××
       2)決済されたとき:
         ・振出人=指図人 ex)(借)当座預金×× (貸)受取手形××
         ・名宛人     ex)(借)支払手形×× (貸)当座預金××


   ▼自己名宛為替手形…自分が手形代金の支払人になるよう振り出す
       1)振り出したとき:
         ・振出人=名宛人 ex)(借)買掛金×× (貸)支払手形××
         ・指図人     ex)(借)受取手形×× (貸)売金××
       2)決済されたとき:
         ・振出人=名宛人 ex)(借)支払手形×× (貸)当座預金××
         ・指図人     ex)(借)当座預金×× (貸)受取手形××



  ◆荷為替手形
     →遠隔地の得意先に商品を販売し、運送業者に依頼して発送した場合に
       運送業者から貨物引換証船荷証券などの貨物代表証券の交付

         →荷送人(売主)、売上代金を早期に回収するため、
           貨物代表証券を担保として荷受人(買主)を名宛人とする
           自己受為替手形を振り出し銀行で割り引いてもらう


     1)荷為替を取り組んだとき(荷送人・売主の会計処理):
       →売上代金のうち、荷為替の取組部分については
         割引料を差し引いた手取額を「当座預金」勘定の借方、
         売上代金と荷為替の取組部分との差額を「売掛金」勘定の借方に
       ・掛売上処理     ex)(借)売掛金  ×  (貸)売上   ×
       ・自己受為替手形振出 ex)(借)受取手形 ×  (貸)売掛金  ×
       ・手形割引      ex)(借)当座預金 ×  (貸)受取手形 ×
                      手形売却損 ×


     2)貨物代表証券を荷為替手形の引受により入手した場合:
       →「未着品」勘定の借方に、「支払手形」勘定(荷為替手形の引受額)を貸方に
        +貨物代表証券の金額と荷為替手形の引受額との差額は「買掛金」勘定の貸方に
          ex)(借)未着品 ×  (貸)支払手形 ×
                       買掛金  ×



 ◇偶発債務:ある一定の事実が起こったときに現実の債務になるもの
   ◆手形の裏書…満期日前に手形を他人に自由に譲渡
            →手形債権はなくなるが、支払人が支払不能になった場合
              手形代金を支払う義務を負う


    [直接減額法]
      →受取手形を直接減額し、「保証債務費用」(費用)の借方、「保証債務」(負債)を貸方に
 
        ex)(借)仕入××     (貸)受取手形××
          (借)保証債務費用△△ (貸)保証債務△△
             ※手形決済時:(借)保証債務×× (貸)保証債務取崩益××


    [偶発債務を備忘記録する方法]
      ▽対照勘定法:
        →「(手形)裏書義務見返」勘定を借方、「(手形)裏書義務」勘定を貸方に
          ex)(借)仕入××       (貸)受取手形××
               裏書義務見返△△ (貸)裏書義務△△
            (借)保証債務費用□□  (貸)保証債務□□
           ※手形決済時:(借)裏書義務△△  (貸)裏書義務見返△△
                   (借)保証債務□□  (貸)保証債務取崩益□□


      ▽評価勘定法:
        →手形債権の消滅を「裏書手形」勘定(資産のマイナス)を貸方に
          ex)(借)仕入××     (貸)裏書手形××
            (借)保証債務費用□□ (貸)保証債務□□
           ※手形決済時:(借)裏書手形△△ (貸)受取手形△△
                   (借)保証債務□□ (貸)保証債務取崩益□□



   ◆手形の割引…手形を満期日前に取引銀行などに裏書譲渡
            →割引日〜満期日までの利息を手形金額から差し引かれ残りが手取額に
              ※利息…割引料「手形売却損」勘定
      ▽対照勘定法(偶発債務の存在を明らかに):
          ex)(借)当座預金××   (貸)受取手形×△
              手形売却損△△
            (借)割引義務見返×× (貸)割引義務××
             ※手形決済時:(借)割引義務×× (貸)割引義務見返××


      ▽評価勘定法:
        →手形債権の消滅を「割引手形」勘定(資産のマイナス)を貸方に
          ex)(借)当座預金××  (貸)割引手形×△
              手形売却損△△
             ※手形決済時:(借)割引手形×× (貸)受取手形××



   ◆手形の不渡…満期日に手形代金の支払い拒絶
            →振出人or前の裏書人に対して手形金額・支払拒絶証書作成費
              +満期日〜償還日までの法定利息を請求

     ⇒「不渡手形」(資産)勘定…手形金額+請求に要した費用
                   ※回収不能なときは「貸倒れ」として処理
       ▽所有する手形が不渡になった場合:
          ex)(借)不渡手形×△  (貸)受取手形××
                        現金△△
       ▽裏書・割り引きした手形が不渡になった場合:
          ex)(借)不渡手形××  (貸)当座預金××
            (借)割引手形△△  (貸)受取手形△△



   ◆手形の更改…手形の支払人が資金不足により手形代金の支払いの延期を申し出
      ⇒手形の所持人が承諾した場合、新しい手形を振り出し旧手形と交換
           ※延期された日数に応じ利息
      1)更改時に現金等で利息を支払う場合:
        ・手形所持人:ex)(借)受取手形×× (貸)受取手形××
                    現金△△    受取利息△△
        ・手形支払人:ex)(借)支払手形×× (貸)支払手形××
                    支払利息△△  現金△△
      2)新しい手形の金額に利息を加える場合:
        ・手形所持人:ex)(借)受取手形×△ (貸)受取手形××
                            受取利息△△
        ・手形支払人:ex)(借)支払手形×× (貸)支払手形×△
                   支払利息△△


◇貸倒引当金
  ・「貸倒れ」…得意先の倒産などにより売掛金受取手形などの売上債権が回収不能


 ◆「貸倒引当金繰入」勘定(費用):
   →次期以降に貸倒れが予想される場合の決算時・貸倒見積額(借方)
        ※「貸倒引当金」勘定…その貸方に記入(債権金額に対する控除的評価勘定)


     1)手形の裏書・割引を対照勘定法で処理している場合
        →手形の裏書・割引時に受取勘定を減額している
          ⇒受取手形勘定残高には偶発債務は含まれない
            ex)(借)貸倒引当金繰入×× (貸)貸倒引当金××


       ・手形裏書・割引額を含める(=偶発債務を含める)
         →(受取手形勘定残高+裏書額)×繰入率
       
       ・手形裏書・割引額を含めない(=偶発債務を含めない)
         →受取手形勘定残高×繰入率


        
     2)手形の裏書・割引を評価勘定法で処理している場合
        →手形の裏書・割引時に受取手形勘定を減額せず、「裏書or割引手形」勘定で処理
           ⇒受取手形勘定残高には偶発債務が含まれている
             ex)(借)貸倒引当金繰入×× (貸)貸倒引当金××


       ・手形裏書・割引額を含める(=偶発債務を含める)
          →受取手形勘定残高×繰入率
       
       ・手形裏書・割引額を含めない(=偶発債務を含めない)
          →(受取手形勘定残高−裏書額)×繰入率




 ▽貸倒引当金の会計処理
   [差額補充法]
     →貸倒引当金勘定残高と当期末の貸倒見積額との差額を
       「貸倒引当金繰入」勘定を借方、「貸倒引当金」勘定の貸方

       ex)(借)貸倒引当金繰入×× (貸)貸倒引当金××


      ※貸倒引当金勘定残高>当期末の貸倒見積額の場合:
        →差額を「貸倒引当金戻入(益)」勘定の貸方に振り替え
          ex)(借)貸倒引当金×× (貸)貸倒引当金戻入××


   [洗替法]
     →<1>貸倒引当金勘定残高を貸倒引当金戻入(益)勘定に振り替え
       <2>当期末の貸倒見積額を貸倒引当金繰入勘定を借方、貸倒引当金勘定を貸方

          ex)(借)貸倒引当金××   (貸)貸倒引当金戻入××
            (貸)貸倒引当金繰入×× (貸)貸倒引当金××



 ▽貸倒れ時の処理
   1)前期以前発生の売掛金受取手形の当期貸倒れ
      →貸倒額を貸倒引当金勘定を借方+売掛金受取手形勘定を直接減額
         ※貸倒額>貸倒引当金勘定残高…超過額を貸倒損失勘定を借方に
           ex)(借)貸倒引当金×× (貸)売掛金×△
               貸倒損失△△
   2)当期発生の売掛金受取手形の当期貸倒れ
     →貸倒引当金勘定残高の有無に関わらずその全額を
       貸倒損失勘定の借方に+売掛金受取手形勘定を直接減額
           ex)(借)貸倒損失×× (貸)売掛金××



◇債務保証と未決算
  ◆債務保証…保証人が債務者に代わって債務を返済
          →債務の保証を行った場合、偶発債務発生


    1)債務の保証人になったとき
       →偶発債務を明らかにするため備忘記録として「保証債務見返」勘定を借方、
         「保証債務」勘定を貸方に
           ex)(借)保証債務見返×× (貸)保証債務××
    2)債務が返済されたとき
       →偶発債務の消滅⇒備忘記録を相殺消去
           ex)(借)保証債務×× (貸)保証債務見返××



  ◆未決算…現金収支を伴わない内容未定の取引により最終的に処理すべき勘定科目・金額が未確定
          →一時的に処理する勘定 ex)火災未決算勘定・盗難未決算勘定
            ※後に確定した場合は未決算勘定から振り替え