09/05/31 コメは生き残れるか?

○迷走するコメ改革




◇コメ改革の歴史:
 ・00年:自民党、コメの市場化を目指し「農業経営所得安定対策」まとめる
 ・02年:政府、米政策改革大綱を決定
       →担い手対策・減反改革・流通過剰米対策をワンセットに
         ⇒「政府丸抱えからの大転換」といわれる


 ▼04年:戦後最大の農地改革スタート(6年計画)
     ・政府による統制色の強い政策から「コメの市場化」へ脱皮
     ・意欲ある専業農家に予算集中投入する「担い手」の選別
     ・減反の主役を政府から生産者団体に変える
     ・09年まで段階的に進める


 ▼07年夏:民主党、「農家への戸別所得補償」を掲げ参院選大勝
        ・内容:規模問わず全ての農家に生産費分の所得補償
        ・背景:政府の市場的・選別的改革に対する農家の不満


 ▼07年秋〜08年:自民党、政府に改革路線見直し要求
     ・再び政府が減反の主役に
     ・作況超過米の政府による全量買い入れで米価維持


 ▼09年1月:政府、農地改革関係官僚会合を発足
     ・10年以降の農政について議論
       →関係省庁の特命チームが夏をめどに基本方針とりまとめ
           ※農水・財務・経産など関係6省庁の特命チーム
     農水省、改革路線復活を主張…農家主体の減反選択制・米価の自由化など
     ・自民党農水族、改革は農家の支持を得られないと警告
   ⇒9月までに実施される総選挙もにらみ、議論が続く
    



◇佐伯尚美・東京大名誉教授:
  ▼コメ、もともと政治的利害に左右されやすい「政治作物」
     →が、最近は超短期的な政局に振り回される「政局作物」へ転化
   ・04年:政府の直接統制から段階的に市場連動型に変える改革開始
     →07年夏:民主党参院選で大勝

           ※「戸別所得補償」…統制的発想
              →全ての農家を政府が丸抱えする保護強化
       ⇒自民党、慌てて再び政府丸抱え路線に


  ▼もともと政府が目指した改革:
     ・生産調整(減反)…従来、面積で割り当て配分
        →これを生産数量の配分に(生産者の自主的な判断)
          ⇒生産調整の主役を形式的に生産者に
            ※が、生産数量を個別の農家に守らせること困難
     ・この改革の評価すべき点:
        →市場的な要素(需要に応じた生産)を入れようとした点
          ⇒需要と供給のギャップを小さくする


  ▼将来、コメは市場化すべき:
    ・現在、市場化すれば米価は半値以下になる恐れ
      →大規模農家経営が持たなくなり兼業・零細農家だけ残る恐れ
    ・ここ数年のうちに100万トン超の輸入米が入ると予測
         ※世界貿易機関(WTO)の農業交渉の結果次第
      →生産調整で無理に米価を高く維持しても消費者は輸入米に


  ▼次期衆院戦後…:
    ・おそらく今の改革見直し路線はなくなる
      →政府は段階的に市場原理を組み込もうとした
        04年からのコメ改革の初心に戻るべき




加藤紘一衆院議員:
 ▼日本の農業生産額…8.4兆円
     ・1位:酪農・畜産…2.6兆円
     ・2位:野菜…2.1兆円
     ・3位:コメ…1.8兆円
     ▽酪農・畜産や野菜…次々に新商品作り、経営形態の近代化・大規模化
         ※近年のエネルギー高・飼料高・原油高の大打撃を回避努力
     ▽コメ…食生活のおかず重視で需要が半世紀で半減
           →生産調整が必要に


 ▼日本のコメと大豆:
   ・コメ、農業の中心 ※神様に供え守ってきた
     →現在:スーパーでのコメ…5キロで2千〜6千円
           ⇒消費者の家計に占めるコメの割合低い
     →コメ改革には大豆を戦略上重要な穀物を政府が認定し一定の補助与え
       適地適作を進めることが必要だと考える
         ex)佐賀県…米作県・新潟などから生産調整面積を引き受け
                大豆を作る県間調整行う
       ⇒コメと大豆等の間の収入比を調整し農家の収入を確保しつつ転作進めるべき




◇大泉一貫・宮城大副学長:
  ▼日本のコメ:
    →輸入も射程に入れた成長産業になる可能性
      ⇒減反による米価維持政策を改め米価下がってももうかる構造に変えるべき


  ▼戦後農政:
    →自民党のもとで「豊かな農民」作ろうとし成功
      ⇒が、手法は農業生産力の向上でなく、高米価維持、兼業、農地転用の容認
         ※農民は豊かになったが農業は衰退
         ※「途上国型農政」…高米価に頼り消費者が負担


  ▼米価は市場の動向の反映にすべき:
    ex)全国農業共同組合連合会(全農)と卸売業が相対取引で価格決定
         ※全国の農協に押しつけるやり方改める
       →各地の単位農協が直接販売できる方法にし相互に競争
         →意欲ある農家、増産(=生産拡大)
           ⇒国際市場もターゲットに(コメ関連商品開発も)
    ex)米粉…パン・菓子など様々な利用可能
          →価格が下がれば商品開発活気づく
    ex)エサ米…輸入飼料に頼る畜産業の自給率を高めることも


  ▼コメが成長産業になったら…:
    →意欲ある農家、規模拡大でコスト下げようとする
             ※同時に他の農作物と組み合わせた複合農業も
      →農業が地域の有力な産業に
        ⇒産出額・雇用増、起業する人も=過疎に悩む地域経済、活性化


  ▼コメ改革の指針:
    減反廃止…が、コメの作付面積増→価格下落⇒農家収入減
      →不利益被る農家への直接補償不可欠

        ⇒が、一律バラマキでなく補償の対象を限定
        ex)水田農業モデルを構築する稲作への思い持った農家
           →08年までの「稲作所得基盤確保対策」参加し、
             自主的に基金を拠出し米価変動に備えてきた
             経営意識のある農家(約90万戸)
      →米価の下落補償は時限的に手厚くし、その間に規模拡大・複合経営で競争力を
        ex)EU…高関税やめ、価格低下による所得減少分を補償
              →その間に規模拡大・構造改革推進
                ⇒「先進国型農政」


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