09/04/12 論壇はどうなる?
○論壇をめぐる最近の動き
・08年9月:「論座」(朝日新聞社)が休刊
・08年12月:「現代」(講談社)が休刊
・09年5月:「諸君!」(文藝春秋)が休刊
▼他方で新しい動きも:
・書籍として刊行される新しい「論壇誌」出現
・書き下ろしの新書でデビューする若い論客
・ネット上では「ブログ論壇」が形成(?)
◇東浩紀 (批評家・東京工大特任教授)
・相次ぐ論壇誌の休刊→左・リベラル/右・保守という枠組みの意味の喪失
・80年代末(冷戦終結)から95年(オウム事件)にかけて日本の思想、大きな転換点
→それまで政治的態度をパッケージ化してきたイデオロギーが無効に
⇒論壇・論壇誌もリベラル・保守という単純な区別では存在困難に
・これからの論壇の主流…個々の問題(シングルイシュー)について
→個々の問題ごとに鋭い見方を提示できる論客たちが出現
⇒世論形成に影響力をもつように
※従来は一握りの論壇人がある立場からあらゆる問題にコメント
・言論の本来の役割…複雑な問題の割り切れないところを提示していくこと
→多様な立ち位置があることを示す
⇒どんな行動を取るかは個々人が判断
・「言論の場が消えていく」という嘆きに対して:
→言論の場をどう生き残らせるか、一人一人が現実的に考えれば
言論は確実に活性化する
⇒気概のある書き手がいないことが問題なのでは
◇中島岳志 (北海道大准教授・アジア政治・政治思想)
・現在、世論=気分
→その熱狂が政治を左右する土壌が出来てしまった
・支持率=×政策の良し悪し ○どちらが好きか好きじゃないか
→芸能人の好感度調査に近い
・大きな節目…1995年:阪神大震災・オウム真理教事件
⇒世の中が不安定化
※当時のベストセラー…「脳内革命」「遺書」など何かを断言するもの
・1919年:第1次大戦後の不況化、労働運動と普通選挙運動が盛り上がる
→「社会問題研究」「我等」「改造」「解放」など今でいう論壇誌続々と登場
・2008年:反貧困運動から「ロスジェネ」「思想地図」
→新しい媒体が登場
・中島さんの世代の特徴…イデオロギーに関係なく議論可能
・今後の期待…これまで論壇誌の読者でなかった30代の女性
→「ビッグイシュー」の主要な読者
⇒若い女性は新しいオピニオンの場を求めている
◇香山リカ (精神医科・立教大教授)
・論壇誌の休刊…「もの申したい人」の減少ではない
→むしろ増加・ブログなど新しい手段が出現
⇒が、一方通行
・批判が相手に届かなくても言いたいことを言って自分の周りの人が共感してくれるだけで満足
→仲間内で共感しあって満足して
自分の価値を否定されるような意見は聞きたくないと考えているのかもしれない
・一方通行でない議論する場としての「論壇」は必要
→もう一度、本気の人と同人誌的なところから「論壇」を始めるしかないのか